私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「SAYURI」

2005-12-11 22:36:27 | 映画(さ行)


「シカゴ」のロブ・マーシャル最新作。ハリウッドの手により日本人芸者の世界を描く。日本人芸者役にチャン・ツィイー、日本からは渡辺謙、役所広司、桃井かおり、工藤夕貴らが出演。他ミシェル・ヨー、コン・リーといった豪華な出演陣が脇を固める。


この映画に関して、言いたいことは大量にある。

たとえば、その中途半端な英語と日本語の混在した言葉遣い。見ている間、どっちかに統一してくれと何度もどかしくなったことかしれない。

ほかにも、中途半端な理解に基づいた過剰なまでの日本文化の描写が気になってくる。
「いや、それ違うから」と心の中で突っ込むこと多数。中盤のさゆりの踊りは芸者の踊りというより、歌舞伎にしか見えないのは、見ているこっちの方が恥ずかしくなってくるくらいだった。

おまけにストーリーも説明不足で、腑に落ちない面が多い。単純に僕がちゃんと観ていなかっただけかもしれないけれど。
例えば会長さんのさゆりを思う心情は描き込み不足で、ラストの方がいまいち説得力に欠ける。豆葉もその登場に関しては最後の方で説明がされるけれど、どういう心情でさゆりをけしかけたりしていたかが何かわかりにくい。
ともかくも引っかかる面が多い作品だ。

でもこんな感じのメロドラマを僕は嫌いではなかったりする。というかむしろ好きだ。
さゆりが健気すぎるのが気にはなるけれど、女の戦いを始めとする、うねりに富んだ物語は観ていて退屈することはない。

誉めるべき点としてはほかに、俳優陣の演技もあげられるだろう。
個人的にはコン・リーが良かった。その感情の激しさは観ていても恐ろしいものがあった。僕個人としては、存在感ではチャン・ツィイーを食っていたように思う。もちろん、ツィイーも健気さが少し鼻に突くものの、存在感はあるし、桃井かおりの癖のある女将も印象に残る。渡辺謙も微妙な表情の乗せ方が実にうまい。
さすがにトップクラスを揃えただけはある。これらの演技を観るだけでも、この映画には価値があると僕は思った。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)

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